【秋田の海が豊かな理由2】フラボ酸鉄と腐葉土

2017-12-28
 海と日本PROJECT in 秋田県

前回は、海の豊かさのキーポイントとなる海の栄養分の一種「フラボ酸鉄」という物質について、お伝えしました。

前回から少し時間が空いてしまったので、おさらいしますが、

●「フラボ酸鉄」は「フラボ酸」と「鉄」からできていて、海洋性植物プランクトンが取り込みやすい!という特徴を持っている。

●植物性プランクトンが成長するためには、鉄分をはじめ、ミネラル等の成分、こうした栄養分の吸収を助ける成分が必要。その助ける成分=「フラボ酸鉄」。

●「フラボ酸鉄」が豊富→「海洋性植物プランクトン」が増える→「動物性プランクトン」が増える→「海のさまざまな小さな生物」→「海のさまざまな大きな生物」が増える→海の生態系が豊かになる。

というお話をしました。

では、今回の本題。「フラボ酸鉄」はどこからくるのか?

答えは「森林」。もっというと、広葉樹の森林による「腐葉土」です。

もう少し詳しく云うと、海の中でプランクトンや海藻が成長するためには、窒素とリンが欠かせないのですが、これらの吸収のためには、まず「鉄」が必要になります。

しかし単なる「鉄」の粒子では、植物プランクトンや海藻が吸収しにくい!

そこでカギを握るのが「フラボ酸鉄」です。

「フラボ酸鉄」は、豊かな広葉樹の森林から流れ出す淡水に多く含まれています。そして、川から海へと流れる淡水に含まれる「フラボ酸鉄」により、河川には海の100~1000倍の鉄が含まれることになるといわれてます。

 

こんな風に、海の豊かさのカギを握る「フラボ酸鉄」は、広葉樹の森林から葉が落ちて「腐葉土」となるプロセス(A₀=有機物層~A=表層)で誕生します。

そのプロセスは、

広葉樹から葉が落ちた(A₀-L=落葉層)

微生物によって分解されながらも多少かたちが残っている(A₀-F=腐葉層)

肉眼ではほとんど植物の組織が確認できないぐらい分解が進む(A₀-H層)

 

へと、3~10年ほどの時間をかけて分解されていきます。

その後さらに、

いわゆる私たちがイメージする「腐葉土=黒土」(A=表層)

へと、地中の細かい粒土の鉱物と混ざり合いながら、永い時間をかけて形成されていきます。この分解と混合のプロセスで「フラボ酸」と「鉄」が結合し「フラボ酸鉄」となるのです。

そして雨や雪などの水分が浸透し、「腐葉土層」のフィルターを通ることにより濾過され、「フラボ酸鉄」などの栄養分を豊富に含んだ淡水が川から海へと流れていくというわけです。

つまり、これら腐植層を含む「腐葉土」による層が厚く豊富であるほど、海へと流れる水に含まれる「フラボ酸鉄」などの栄養分は豊富になる。そして、最初にお話しした以下のロジックへとつながる、という生態系のメカニズムになっているのです。

●「フラボ酸鉄」が豊富→「海洋性植物プランクトン」が増える→「動物性プランクトン」が増える→「海のさまざまな小さな生物」→「海のさまざまな大きな生物」が増える→海の生態系が豊かになる。

 

さて、海の豊かさを考える上で、なんだか森林って、とっても大事な役割を果たしてくれているようです。よく「生態系サービス」と云われる自然のメカニズムは、私たちの知らないところで、実はすごい働きをしてくれているようですね!

では、次回からは少し森へと視点を移して、私たちができることを考えていきましょう。

 

参考資料:「総合的な学習の時間」に役立つ 川や海などの水辺でできる自然体験プログラム集(発行:日本環境教育フォーラム/助成:日本財団)

「森のセミナーNo.1 森と水  水を育む森、森を育む水」(発行:社団法人 全国林業改良普及協会)

「林業技術ハンドブック」(発行:社団法人 全国林業改良普及協会/林野庁監修)

取材協力:秋田県林業研究研修センターほか

イベント名【秋田の海が豊かな理由】フラボ酸鉄と腐葉土

レポーター紹介

今絵うるは
メガネライター。編集者。構成作家。東京生まれ、青森育ち、秋田市在住。東北地方有数の港町である八戸市で、潮の香りと山背を感じながら育ったため、海や海風、潮の香りがあると心が安らぐ。昨年の「海と日本PROJECT」では秋田県内の海沿いを取材にまわり、海に関わる方々の「懐の深さ」と「器の大きさ」に感動。
この取材をきっかけに、夏は子連れで海のイベントをはしご、すっかり海が好きになってしまいました。秋田の海最高!
https://www.facebook.com/imaeuruha

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