【秋田の海が豊かな理由4】落葉広葉樹と森と水のはなし

2017-12-28
 海と日本PROJECT in 秋田県

 

広葉樹からの落ちた葉が微生物によって分解されて、腐葉土がつくられ、そこに雨水等が浸透し濾過されて「フラボ酸鉄」などの栄養分を豊富に含んだ地下水となり、川から海へと流れて海を豊かにする-。

というのは、前回までにお伝えしたとおりですが、森林には、水質浄化機能があるともいわれています。

雨水等が浸透し、森林の土壌や地下深くにある岩盤層へと浸透していく過程で、窒素酸化物やリン等が濾過・吸着されることがわかっています。同時に、カリウムや「フラボ酸鉄」等のミネラルが適度に溶け込むというわけなのです。

 

また、森林にはスポンジのように浸透した雨水等を貯めておく機能もあります。

豊かな森林には、洪水が起こりにくいというのも、よくいわれることですよね。

その浸透能は、裸地で79mm/hr、草地で128mm/hr、森林で258mm/hrと、随分違うことが分かります(「林地の水及び土壌保全機能に関する研究」村井宏・岩崎勇作)

土壌に貯まった水は、植物の根から吸収されたり、地下水として流れたり、さらに地下深くの基岩層に達して浸透したりします。

さらに、地下水として流れる水の下の層には、基岩層があり、その岩石からカルシウムやナトリウム、マグネシウム、カリウムなどのミネラルが溶け出すことで、水分中に含まれるというわけです。

広葉樹から落ちた葉による「腐葉土」、森林の「スポンジ機能」、腐葉土や基岩層による地下水の「濾過・吸着・成分補給機能」が有機的に作用することによって、栄養分豊富な地下水が海へと流れていくことができるのです。

 

参考資料:「総合的な学習の時間」に役立つ 川や海などの水辺でできる自然体験プログラム集(発行:日本環境教育フォーラム/助成:日本財団)

「森のセミナーNo.1 森と水  水を育む森、森を育む水」(発行:社団法人 全国林業改良普及協会)

「林業技術ハンドブック」(発行:社団法人 全国林業改良普及協会/林野庁監修)

「広葉樹樹種別材積割合/広葉樹資源状況報告書(S61.3林務部報告)」

「秋田県現存植生図/自然環境管理計画ネイチャー秋田21」(秋田県,1987)一部改変

「安全で豊かな生活を支える森林の力~日本を支える大黒柱~」(社団法人 日本林業協会/協力:林野庁)

取材協力:秋田県林業研究研修センターほか

イベント名【秋田の海が豊かな理由4】落葉広葉樹と森と水のはなし

レポーター紹介

今絵うるは
メガネライター。編集者。構成作家。東京生まれ、青森育ち、秋田市在住。東北地方有数の港町である八戸市で、潮の香りと山背を感じながら育ったため、海や海風、潮の香りがあると心が安らぐ。昨年の「海と日本PROJECT」では秋田県内の海沿いを取材にまわり、海に関わる方々の「懐の深さ」と「器の大きさ」に感動。
この取材をきっかけに、夏は子連れで海のイベントをはしご、すっかり海が好きになってしまいました。秋田の海最高!
https://www.facebook.com/imaeuruha
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