日本三大盆踊りのひとつ「西馬音内盆踊り」の地、羽後町西馬音内。
この地に伝わる「西馬音内そば」のルーツが、北前船と大きく関わりのあることを、皆さんは知っていますか?
冬でも冷がけ!が特徴の西馬音内そば。
その元祖は、二万石橋のたもとにある文政元年(1818)創業「弥助そばや」です。
江戸時代、西馬音内街道の宿場町として栄えていた、羽後町・西馬音内エリア。
後に同店が店を構えた「二万石橋」は、二万石を持つ2つの藩の殿様が、この橋を渡り江戸へと上ったことからその名がついたと云われています。
西馬音内では月に3回の市(いち)が開催され、旅の途中で体を休める人、海や陸の品々を持ち寄る商人で賑わう商業の町でもありました。
この地で農家の七男に生まれたのが、初代・弥助。10歳を過ぎたころ、弥助は家族に何も告げず放浪の旅へ。10年経ってふらりと帰ってきた弥助は、立派な若者になっていたといいます。
江戸時代に日本海航路で物流を担っていた北前船に乗り、大坂の蕎麦屋に奉公し「冷やがけ」を習得してきた弥助は、西馬音内の中央に位置する「二万石橋」のたもとに店を構えます。
それが、西馬音内そば元祖「弥助そばや」です。
街道を行き交う旅人や商人、地元の人々で賑わっていた通りに出した店は、たちまち繁盛したようです。初代・弥助が持ち帰った「白く細い蕎麦」は、当時、東北では見たことがないもので、人々に大変喜ばれたといいます。
大坂・砂場系の配合で、二八の手打ち。純度の高い国産のそば粉にこだわり、つなぎに北海道産の布海苔を使用した代々秘伝の製法による蕎麦は、細いのにコシがあって歯切れがよく、しっかりと盛られた蕎麦の量もなんのその。蕎麦を口に含めば、噛んだ後から、甘い蕎麦の香りがふわりと口に広がって、幸せな香りの連鎖に食欲がすすみます。
そして、天婦羅もまた美味。
肉厚な椎茸の食べ応えと旨み、新鮮なオクラやナスならではの歯ごたえと瑞々しさ、衣はさっくり具はほっくりとしたカボチャの甘み…、
さらにお母さんの付け合わせと、がっこ(漬物)も嬉しい!
地元農家の食材と揚げたてにこだわる、ご主人自慢の「冷がけセット」がおすすめです。
ぜひ、足を運んで、召し上がってみてくださいね!
人気メニュー「ひやかけそばと天ぷら」1080円(税込)
イベント名 | 創業は文政元年!北前船に乗り大坂で修業した「弥助そばや」 |
メガネライター。編集者。構成作家。東京生まれ、青森育ち、秋田市在住。東北地方有数の港町である八戸市で、潮の香りと山背を感じながら育ったため、海や海風、潮の香りがあると心が安らぐ。昨年の「海と日本PROJECT」では秋田県内の海沿いを取材にまわり、海に関わる方々の「懐の深さ」と「器の大きさ」に感動。
この取材をきっかけに、夏は子連れで海のイベントをはしご、すっかり海が好きになってしまいました。秋田の海最高!
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