豊かな広葉樹の森林によって豊富な腐葉土層がつくられ、海が豊かになるのなら、広葉樹をいっぱい増やしちゃえばいいじゃん!
という考え方は、半分正解で半分間違いのようです。
大事なのは、全体のバランス。
このことを少し頭の中にインプットして、話を進めていきたいと思います。
日本国土のおよそ3分の2は森林。
秋田県のおよそ3分の2もまた森林。
ということで、秋田県は日本のモデルケースともいえる森林割合です。
さらに、天然の森林においては、そのほとんどが広葉樹。
これは全国トップクラスです。
また、人工林の大部分は針葉樹の代表格であり、秋田が誇るスギ。
スギは、日本で一番植えられている針葉樹でもありますが、これも全国1位です。
なんだか秋田の森林って、とっても優秀ですね!
広葉樹の代表格といえばブナ。
そして、秋田県は天然の「ブナ」が全国でもトップクラスに多い!
「広葉樹樹種別材積割合/広葉樹資源状況報告書(S61.3林務部報告)」によれば、「民有林」において、広葉樹の1位はコナラ(30.79%)、2位はミズナラ(22.21%)、3位はカエデ類(8.18%)、4位はクリ(7.36%)、5位はサクラ類(7.04%)、そして6位がブナ(6.53%)だそうです。
いわゆる「里山」は「民有林」に近いので、私たちが暮らしの中で目にする頻度はこちらに近いかもしれません。昭和61年の古いデータになりますが、その頃からほぼ変わらないと専門家は語ります。
さらに、ここに国が管理する、白神山地などの「国有林」資源量を加えると、その樹種構成と順位が大きく変わります。
秋田県の広葉樹林は、ブナ、ナラ、サクラ類、クリが多く、中でも、ブナが上位となります。
この順位の入れ替わりがまた、天然林が多く、そのほとんどが広葉樹という全国トップクラスの秋田の面白いところです。
大ざっぱにいうと
水源となる奥山には、ブナを中心とした広葉樹の天然林が広がり、水を育み、野生生物を育んでいる。
人里周辺には、ナラのほか、日本一の面積を誇るスギ人工林が広がり、生活や産業を支えているのです。
自然って、本当によくできていますよね!
どちらもそれぞれに役割があり、バランスよく必要であるというわけです。
広葉樹も、針葉樹も、それぞれとっても良くやってくれているよね、ということが分かったところで、次回は、落葉広葉樹と森と水のはなしについて考えていきたいと思います。
※2018年1月5日、加筆修正いたしました。
参考資料:「総合的な学習の時間」に役立つ 川や海などの水辺でできる自然体験プログラム集(発行:日本環境教育フォーラム/助成:日本財団)
「森のセミナーNo.1 森と水 水を育む森、森を育む水」(発行:社団法人 全国林業改良普及協会)
「林業技術ハンドブック」(発行:社団法人 全国林業改良普及協会/林野庁監修)
「広葉樹樹種別材積割合/広葉樹資源状況報告書(S61.3林務部報告)」
「秋田県現存植生図/自然環境管理計画ネイチャー秋田21」(秋田県,1987)一部改変
取材協力:秋田県林業研究研修センターほか
イベント名 | 【秋田の海が豊かな理由3】広葉樹と針葉樹 |
メガネライター。編集者。構成作家。東京生まれ、青森育ち、秋田市在住。東北地方有数の港町である八戸市で、潮の香りと山背を感じながら育ったため、海や海風、潮の香りがあると心が安らぐ。昨年の「海と日本PROJECT」では秋田県内の海沿いを取材にまわり、海に関わる方々の「懐の深さ」と「器の大きさ」に感動。
この取材をきっかけに、夏は子連れで海のイベントをはしご、すっかり海が好きになってしまいました。秋田の海最高!
https://www.facebook.com/imaeuruha